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明治めいじ」という国家こっか
―司馬遼太郎の明治国家観―

 

司馬遼太郎(1923~1996)著。平成元年(1989)刊。

本書は幕末、維新から明治草創期までの偉人と時代精神を紹介している。司馬遼太郎の明治国家観を読み取ることができる。

 アメリカ人は、すでに中国人を見ていましたが、日本人を知らなかった。新見・村垣らが、批准のためにワシントンにいたのは、ニューヨークの前でしたが、かれらを見るためにワシントンの街と周辺は、家々が空家になってしまうほどで、新聞、雑誌の記者はその印象記の取材のために駈けまわっていました。

たれもが、この日本使節に感心した。頭の内容でなく、その挙措動作、品のよさと、毅然とした姿に、です。首都やニューヨークに出現した、この未知の民族について、異文化とはいえ、大変上質なものを感じたのです。


 人間は、他の人間にとって、しばしば存在そのものが、巨大な情報の発信体である場合が多いのですが、新見・村垣の、そして小栗という三人の遣米使節とその随員こそ、そうでした。江戸二百七十年の文化の上澄みが、ブロードウェイを行進したと考えていいでしょう。

 ウォルト・ホイットマンが、六月十六日、この行進を見、『ブロードウェイの行列』という詩を、感動をこめて書いたのはむりはありません。ホイットマンは、四輪馬車によりかかったかれらの印象を〝超然″ということばであらわしました。私ども後世の日本人からみても、それはふたたび見ることのない上質な挙措動作というべきで、ホイットマンは、さらに〝考えぶかげな黙想と真摯な魂と輝く目″といったことばで表現しています。(第一章 ブロードウェイの行進)

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