啓蒙書。十一冊。中村
「天は自ら助くるものを助く」という信念を思想的根幹とした教訓とその実例とされる歴史上の人物三百数人の成功立志談を説く。
福沢諭吉の『学問のすすめ』と並ぶ明治の二大啓蒙書であり、発行部数は総計100万部を下らないという大ベストセラーである。
第一編
一 みずから助くるの精神
「天はみずから助くるものを助く」(Heaven helps those who help themselvees.)といえることわざは、
みずから助くということは、よく自主自立して、他人の力によらざることなり。みずから助くるの精神は、およそ人たるものの才智の由りて生ずるところの根元なり。
推してこれを言えば、みずから助くる人民多ければ、その邦国必ず元気充実し、精神強盛なることなり。他人より助けを受けて成就せるものは、その後、必ず衰うることあり。
しかるに、内みずから助けてなすところのことは、必ず生長してふせぐべからざるの勢いあり。けだしわれもし他人のために助けを多くなさんには、必ずその人をして自己励み勉むるの心を減ぜしむることなり。
このゆえに
第二編 新機器を発明創造する人を論ず
一 英国の人民、職事に勉強すること
英国の人民、その風習性格、種々著しきものある中に、職業に勉強する精神あることその一なり。
史冊に
英国の勢力、日に長ずることは、主として、人民に自主の権ありて、またよく勉強するの効験なり。
けだし土地を耕す人、有用の物貨を生ずる人、機器を創造する人、書籍を著す人など、あるいは手をもって、あるいは心をもって、勉強労苦するもの、
第四編 勤勉して心を用うること、および恒久に耐えて業をなすことを論ず
一 大功業は、平常なる工夫によりて得らるべし
絶大の事業を成すには、奇術妙法あるにあらず、また大才
いかにとなれば、善く心を用うれば、目前通常のこと、みな善き経験となり、これよりして、大いに開悟発明の益を得ることあるものなり。
また
人の平安に日を
第六編 芸業を勉修する人を論ず
一 天才ありといえども、必ず勉強の力を要す
およそ芸業を修めて極妙極善に至るものは、特にあまたの辛苦勉強によりて得らるることなり。丹青(絵)の妙手、彫像の名工、一
これによりてしだいに精神をますこと、あるいは
レーノルズ曰く、「だれにても
けだし才は天より受くれども、これを成全するは、自修の功によることなれば、天才を
第七編 貴爵の家を
一
およそ人の血統、ことごとくみな
けだし、もと人に定まりたる貴賤尊卑の種別なし。ゆえに権勢ある家、時に衰微し、卑賤の人、時に顕達す。新者は旧に代わり、
バークの著せる『ヴィシチュードス・オブ・ファミリーズ』(『門族の変換』)を観る時は、人生盛衰の常ならず
昔、英王ジョン、暴虐はなはだしきによりて、バロン二十五人
けだし内乱相継ぎ、その家みな亡滅して
英王エドワード六世の子なりしアール・オブ・ケントの遠裔にして、今屠者となるものあり、税吏となるものあり。サイモン・モンフォールの遠裔なりとて、今トゥーリー街に
オリヴァー・クロムウェルの