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雪国ゆきぐに
―川端康成中期の代表作―

 

川端康成(1899~1972)中期の代表作。昭和10~12年(1935~37)『文芸春秋』『改造』などに分載。昭和22年(1947)完結。昭和23年(1948)創元社より刊行。

雪国の温泉場の自然描写と、女心の哀れさを美しく描いている。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という冒頭の一文はあまりにも有名。

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、

「駅長さあん、駅長さあん。」


「お客はたいてい旅の人なんですもの。私なんかまだ子供ですけれど、いろんな人の話を聞いてみても、なんとなく好きで、その時は好きだとも言わなかった人の方が、いつまでもなつかしいのね。忘れないのね。別れた後ってそうらしいわ。向うでも思い出して、手紙をくれたりするのは、たいていそういうんですわ。」

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