司馬遼太郎(1907~91)の長編小説。昭和38年(1963)10月~40年(1965)1月、地方紙数紙に連載。昭和40年刊。昭和49年改訂版刊行。
さしたる取り柄のない平凡な武士・山内
内助の功を発揮する賢妻・千代を、著者独自の史観からたいへん魅力的な女性として描いている。
「千代はのんき育ちでございますから、さきざきのことは陽気に考えております。この戦さでまたお手柄をおたてくだされば、十人ぐらいは楽に養えますもの」
「一豊様、わたくしどもが、粗服を着、雑穀をたべ、それでも足りなければ、わたくし
の
「のんきだなあ。そんなことでいつまでやってゆけると思うのか」
伊右衛門は、良家に育った千代をよほどのんき者だと思っているようだった。
千代は、決してのんきなたちではない。彼女ののんきさは、母の法秀尼から教えられた演技である。
「妻が陽気でなければ、夫は十分な働きはできませぬ。夫に
おなじ