相田みつを(1924~91)の詩集。昭和59年(1984)4月、文化出版局刊。
相田の書く詩のバックボーンには仏教の教えがある。相田は若いときから禅僧・武井哲応老師に在家のまま師事してきた。『正法眼蔵』や『歎異抄』を座右の書として仏道修行をしてきたのである。
また、相田自身、自分の詩について次のように語っている。
私の書いているものは、いわゆる文学的な意味での詩ではありません。禅宗のお坊さんは、自分の修行して得た心境を、〈
詩偈 〉といって漢詩の形式で表現します。お坊さんではない在家の私にはむずかしい詩偈はできません。そこで口語版の詩偈のつもりで作ってきたのが私の詩です。(にんげんだもの[カセット版])
このように、相田の詩は仏道修行によって到達した心境を表現したものであり、いわば求道の詩であるといえる。したがって仏教理解なしでは相田の詩を深く味わうことは無理であろう。
弱きもの人間
欲ふかきもの
にんげん
偽り多きもの
にんげん
そして
人間のわたし
色即是空
空即是色
かなが人生の
すべてではないが
有れば便利
無いと不便です
便利のほうが
いいなあ
娑婆
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娑婆とは忍土
忍土だから
たえしのぶところ
この世は苦娑婆
樂娑婆とは
いわない
かんのんさまが
みている
ほとけさまが
みている
みんなみている
ちゃんと
みている