九州の小藩からわずか十七歳で上杉家の養子に入り、米沢藩主となった
上杉鷹山については、かつて故ケネディ大統領が「ウエスギ・ヨーザンは、私の最も尊敬する日本人」と語ったエピソードもあり、古くは内村鑑三が『代表的日本人』の中でも取り上げていたので、海外では有名な人物となっている。
理想に燃え、「愛と信頼の政治」を貫いた鷹山の生涯を感動的に描いた作品。
そこで、深い絶望感に襲われ、灰をしばらく見つめていた。やがて私は煙管を取って灰の中をかきまわしてみた。すると、小さな火の残りが見つかった。その火の残りを見つめているうちに、私は、これだ、と思った。これだというのは、この残った火が
そして、火種は新しい火をおこす。その新しい火はさらに火をおこす。そのくりかえしが、この国でもできないだろうか、そう思ったのだ。そして、その火種は誰あろう、まずおまえたちだと気がついたのだ。……
……おまえたちは火種になる。そして、多くの新しい炭に火をつける。新しい炭というのは、藩士であり藩民のことだ。それらの中には
しかし、その中にも、きっとひとつやふたつ、火がついてくれる炭があろう。私は今、それを信ずる以外にないのだ。そのためには、まず、おまえたちが火種になってくれ。そしておまえたちの胸に燃えているその火を、どうか心ある藩士の胸に移してほしい。
城に着いてからそれぞれが持ち場に散って行くであろう。その持ち場持ち揚で、待っている藩士たちの胸に火をつけてほしい。その火が、きっと改革の火を大きく燃え立たせるであろう。私はそう思って、今、駕籠の中で一所懸命この小さな火を大きな新しい炭に吹きつけていたのだ。(灰の国で)